「焙煎屋が語る、裏ワザ・雑学コーヒー論!」第2回:缶コーヒーのほとんどは実は○○?|fumu2[フムフム]

2015/05/21

「焙煎屋が語る、裏ワザ・雑学コーヒー論!」第2回:缶コーヒーのほとんどは実は○○?

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私は自家焙煎コーヒー豆店を営んでいる者です。 みなさんが缶コーヒーだと思っているものの内、 純粋に「コーヒー」と言えるものは一部だということをご存じでしょうか? まず「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」によると、 内容量100g中、生豆換算で5g以上のものが「コーヒー」、2.5~5g未満のものが 「コーヒー飲料」、 1~2.5g未満のものが 「コーヒー入り清涼飲料」、 と表記されるそうです。 通常のドリップコーヒーの場合、 コーヒーカップ1杯200gとして、豆10g前後を使いますから、 納得の数字…と言いたいところなのですが。

よくよく見たら「法律らしい抜け穴」…にも気づかされます。

それは「生豆換算…」という文言。

これが何を意味するかというと、 「事実上20~50%豆の量が減っていてもでもいいですよ」ともとれるのです。 生豆というのは焙煎する前の豆のこと。 焙煎をすると、生豆の水分が飛びます。 要するに深煎りすればするほど重さが軽くなるわけです。 つまり100gのコーヒーの中に、生豆では5gあったとしても、 「実際に使われる豆の重量はそれより目減りしているよ」ということです。 そもそも、おそらくメーカーの開発担当者さんは、 「コーヒー」と「コーヒー飲料」の間の、ギリギリの基準で生豆の量を設定し、 「売れる商品」を作ることを迫られているでしょう。 焙煎屋から見たら、「味気な~い、うす~い感じ」になる条件です。 そしてもう一つ、記事タイトルに関して。

インスタントや缶コーヒーのほとんどに「ロブスタ種」という豆が使われています。

これは本格的なコーヒーに使われる「アラビカ種」とは違い、 病害虫に強く、栽培的に量産しやすいものと言われます。 そのせいか「風味に劣る」とされ、安価で取引される品種です。 ブレンドで苦味を足したり、独特のアイスコーヒーらしい風味として重宝され、 昔から使われてきたものです。 つまりは「使い方に工夫が必要な品種」だと言えます。 筆者は、たまに缶コーヒーを飲んだとき、

「ホントよくできてるよな…」と感心してしまうものがあります。

すでに書いたような難しい基準を満たしつつ、 焙煎を調節し、うまくロブスタを使い、コストをギリギリまで切り詰め、 できる限り美味しくする…、美味しそうに見せる…、そして大きな売上を上げる…? メーカーさん達の苦心の跡を感じて、その熱意に感心してしまうのです。 かつて「違いが分かる…」というコーヒーのコピーがはやりましたが、 味の違いや良し悪しだけでなく、 そのコーヒーを作った人の思いまでを「分かる」方が大事かなと思っています。

「豆が安いからまずい」わけでもなければ

「缶コーヒー=飲む価値がない」というわけでもない。

正解が無数にあるという奥深さこそ、コーヒーの面白さでもあるから、 できる限り偏見なく、それぞれの商品らしさを味わいたい、 と焙煎屋的には思うわけです。

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