2015/12/08
知ってるようで知らない目のせかい ⑭遠近両用コンタクトレンズ
眼鏡にしてもコンタクトレンズ(CL)にしても、若い頃は遠くがよく見えるレンズで近くも不自由なく見えるものですが、中高年になると近見障害や眼性疲労を訴えるようになります。これは加齢に伴って目の調節力や衰える、いわゆる老眼(老視)によるものですが、全ての人に起こります。個人差はありますが、だいたい40歳を過ぎたあたりから老眼症状が出てきます。 眼鏡に遠近両用眼鏡があるように、CLにも遠近両用CLがあり、老眼が進んで通常のCLでは近業に困難が生じてきた場合に適応となります。また、まだ20代・30代であっても、仕事などでパソコンなどの近業時間が長く、かつ眼性疲労が起きている場合にも遠近両用CLが処方されることもあります。 遠近両用CLにはハードコンタクトレンズ(HCL)とソフトコンタクトレンズ(SCL)両方あります。比較的簡便に処方できるのはSCLですが、屈折矯正・老視矯正ともに優れているのはHCLです。 一見とても便利な遠近両用CLですが、もちろん良い点だけではありません。 メリット・デメリットを事前にしっかり説明してもらい、納得した上で処方してもらうことが大切です。
a.メリット
●整容的問題 とくに女性は、「老眼鏡をかける」ということに抵抗のある方が結構多いです。その点遠近両用CL装用下では基本的に近用眼鏡(老眼鏡)が必要ないので、見た目を気にする方には好まれます。 ●化粧時に便利 これも女性に対してのメリットですが、通常のCL装用下でかつ老眼が始まっている目では近くがよく見えないので化粧時に手鏡などで近づけて見たいというとき大変困難です。とくにアイメイクは、CL装用前にするのはおすすめできないため、その点遠近両用CLは大変便利です。 ●眼鏡を持ち歩く必要がない 見たい距離に応じて眼鏡をかけたり外したりという必要がないので、眼鏡を持ち歩く手間が省けます。 ただ、ゴミが入ったり、何か目のトラブルが起きた際、いつでもCLが外せるよう、眼鏡は持ち歩く方が安全ではあります。
b.デメリット
●見え方に限度がある 遠近両用CLのタイプによってその見え方は様々ですし、その性能も日々開発されてきてはいますが、それでもなお、どうしても通常の単焦点CLや眼鏡よりは見え方が劣りますし、基本的に1枚のレンズで、若い頃のように距離に関係なくクリアに見えるというのは難しいのが現実です。そのため、完璧主義な性格の方では満足が得られず、処方が難しいことが多いです。また、細かい作業を長時間行なう方にも向きません。その場合はCL自体諦めて眼鏡のみにするか、または遠方に合わせた通常のCLを装用をして、その上から必要に応じて老眼鏡をかけるなど、CLと眼鏡の併用をすすめることもあります。 ●コントラスト感度が落ちる
単焦点レンズと比較するとコントラスト感度が低下するので、像が暗く見えて、夜間運転に支障をきたすことがあります。
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