2015/10/27
知ってるようで知らない目のせかい ③遠視
前回の近視に引き続き、今回は遠視についてお話します。 平行光線が無調節状態の眼に入ってきたとき、網膜より後方に焦点が結ばれる眼をいいます。 近視はその度数によりますが、眼前にピントが合う距離があるので、裸眼でも近づけばその物を明視することができます。しかし、遠視の場合は凸レンズを装用するか、自分の眼で調節を働かせることをしなければ物を明視することはできません。 近視同様、軸性と屈折性があります。軸性の場合、近視とは逆で、眼軸の長さが短ければ短いほど遠視が強くなります。 正視というのは、平行光線が無調節状態の眼に入ってきたとき、焦点が丁度網膜に結ばれる眼をいいます。 しかし、全くの正視眼は少ないと言われています。 実際、遠視があっても、軽度であれば調節することにより良好な視力を得られるので、調節力が十分にある若い年齢であれば生活に不自由はなく、眼鏡などの必要もないので、遠視があると思っていない人も実際には多いです。 しかし、20代という若い人でも、遠視による眼精疲労を訴える方が増えてきています。スマホやパソコンを長時間行うため、近業時間が増えているためと思われます。遠視の人は近視の人より(裸眼の場合)、近方時の眼の負担は大きいです。 多くの新生児は軽度の遠視です。そして成長に伴い眼軸が伸びて、近視化し、正視眼へ近づいていきます。 しかし、ときに強度の遠視眼があると、弱視(矯正しても視力が出ない)や内斜視(調節過多により眼が寄ったままになってしまう)の原因になることもあります。近視の場合は生活圏内に明視できるポイントがあるので、弱視になることはまれですが、一定のレベルの越えた遠視があると、眼鏡を装用するなどの治療が必要となってきます。そして、遠視による視力障害や眼位異常は早期発見早期治療が望まれます。なぜなら、発見が遅れたり、治療開始が遅かったりするとある程度大きくなっても視力は出ないままということになってしまうからです。
3才児検診などでご自分のお子さんが遠視を指摘されたら、なるべく早く眼科を受診しましょう。
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