テクノロジー業界にとって2022年はなんとも奇妙な年でした。
人工知能(AI)やブロックチェーンの世界では画期的な技術開発が相次ぎましたが、一方では、企業や消費者からの信頼性が揺らぎ、ハイテク株や暗号通貨株が打撃を受けました。とはいえ、テクノロジー業界は今もなお急速なスピードで進化を遂げており、日進月歩の世界であることは間違いありません。
今回、2023年に期待されるエキサイティングなテックトレンドをご紹介いたします。
成長止まないメタバース
「メタバース」と聞くと複雑そうな印象を覚えますが、そのコンセプトはとてもシンプルです。何百万人ものユーザーが共有する仮想空間を指し、現実世界と同様に、物に触れたり、人と交流することができます。セカンドライフ(Second Life)のようなゲームを想像いただけると、どういったものかご理解いただけると思います。
2023年にはVRが一般普及し、各種機能が開発されることで成長を遂げるだろうと言われています。特にバーチャルリアリティ(VR)を用いたメタバースは普及が著しく、ARtillery Intelligenceによる調査によれば、今後1年間で148億ドルに達すると予測されています。
ゲーム業界では、「Meta Quest 2」が人気のVRコンソールですし、今年2月には「PlayStation VR2」が発売されており、どちらも最新のVR体験を楽しめることでしょう。
ビジネスの現場では、VR試着室やメタバース・キャットウォークが注目されており、顧客にパーソナライズされたショッピング体験を提供することができ、メタバースの実用化が進んでいくことでしょう。
「圏外」の消滅
携帯電話回線の電波が届かない地域は未だに多く、その要因としては以下のようなことが考えられます。
– 電波の強さ
– エリア内基地局の位置
– 基地局またはネットワークへの接続
– 使用されているテクノロジーの種類
このような地域では、簡単なインターネットブラウジングさえも困難です。オンラインカジノのような処理要求の少ないウェブサイトでさえも利用することが難しいのです。しかし、2023年には、こういったことが過去のものとなるかもしれません。
AST SpaceMobileは、100機の衛星から遠隔地のユーザーへ電話回線を送信し、こうした地域に住まう数十億人へモバイル通信を提供する計画です。AT&TやVodafoneといった大手電話サービスプロバイダーも参入を検討しており、イーロン・マスク氏のスターリンクの競合他社であるASTと業務提携を行う予定となっています。人々の生活も一変することでしょう。
新しいエネルギー
次世代のエネルギー源が生まれるかもしれないことをご存じでしょうか。
12月、カリフォルニアのLLNL研究所の科学者達が、初めて核融合炉からエネルギーを発生させることに成功しました。核融合炉は、少量の燃料で済み、放射性廃棄物がほとんど出ず、温室効果ガスを発生させない次世代のエネルギー源として注目されています。
2023年は、核融合エネルギーの年になりそうです。イギリスのファースト・ライト・フュージョン社は核融合エネルギーの開発の先駆者であり、これが成功すれば、化石燃料への依存から脱却し、環境負荷の少ないエネルギーに向けた大きな前進となることでしょう。
アメリカ政府は核融合炉を建設する民間企業へ5,000万ドルの投資をしようとしているため、競争は激化することが予想されています。
新たな飛行手段
ヘリコプターのように飛ぶ飛行機はできないのかと考えたことはありませんか?
その答えが、eVTOL(電動垂直離着陸機)です。eVTOLは、電気エンジンで駆動するためコストが安く、ヘリコプターのモーターよりも静音かつ排気ガスも出ないと発表されています。唯一の欠点としては、比較的短距離の移動にしか使えないことですが、この点はヘリコプターも同じです。
Vertical Aerospaceは、2022年にVX4の初号機の試験飛行に成功しました。今年は、高度や速度を調整した上で、さらなる試験飛行が行われる予定です。
世界の主要都市で旅客機が飛ぶようになり、都市間タクシーのような役割も果たせるだろう。しかし、航空規制当局からの認証が課題であり、それだけでも何年もかかるとのことです。
進撃の人工知能(AI)
2023年は、人工知能(AI)の真の可能性を体験できる年になるでしょう。
AIはすでに、顧客サービスの改善や、パーソナライズされた顧客体験提供に活用されています。また、データ分析や結果予測にも利用されています。
AIツールが飛躍的に進化し、バーチャルアシスタントや超高精度検索エンジン(ChatGPTのようなもの)の新しい波がやってくることでしょう。2023年は、高度なテクノロジーが本格的に普及する世界の夜明けともいえます。
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